
高知県室戸市にやってきて2日目。天気は相変わらず回復せず、今日も残念なことに朝から予定変更となってしまいました。
2泊3日ウェルネスモニターツアーinむろと(予定スケジュール)
<1日目>
羽田から高知へ→室戸まで車で移動→室戸ジオパークセンター(プレガイドツアー・オリエンテーション)→ランチ→シレストむろと(海洋深層水でデトックス)→グランピング施設「MUROTO base55」宿泊
<2日目>
「MUROTO base55」出発→室戸岬乱礁遊歩道(瞑想ウォーク)→「MUROTO base55」で朝食・チェックアウト→夫婦岩・唐谷の滝散策→炭の家ほのぼの(田舎寿司づくり体験・昼食・土佐備長炭窯や資料館見学など)→「民宿 徳増」宿泊
<3日目>
「民宿 徳増」出発→尾崎海岸で浜ストレッチ→「民宿 徳増」でブランチ→室戸ジオパークセンターでフィードバック→車で奈半利駅へ移動→高知駅着・終了
空海が悟りを開いた「御厨人窟」「神明窟」で瞑想タイム

朝一で訪れたのが若き空海が修行した「御厨人窟(みくろど)」と「神明窟(しんめいくつ)」。「御厨人窟」は住まいで、「神明窟」は修行した場所です。
空海はここで口の中に明星が飛び込むという神秘体験をし、当時この場所から見えた空と海だけの景色に感銘を受けて「空海」と名乗るようになったといわれています。
「御厨人窟」で大地と強く結ばれる不思議体験

まずは「御厨人窟」の中で瞑想。目をつぶり「ん~」という声を出しながら空間に身を任せます。
ここでは頭の上からぎゅっと濃縮されたエネルギーが入ってきて身体が大地に強く結びつけられる体験をしました。空海も感じたであろう室戸岬ならではのエネルギーを体感できてちょっと感動。
以前、出雲にある「熊野大社」を訪れた際、歴史作家の関先生から「神社入口近くにある大きな石に手をかざしてごらん、パワーを感じるよ」といわれ、やってみたところ・・・。
感じました。シゲシゲするようなパワー。信じるも信じないもあなた次第!?
私(古代史オタク)が気になったのは「御厨人窟」に祀られている五所神社、御祭神が大国主命だということ。さらに神明窟には大日霊貴命(おおひるめむちのみこと、天照大御神の別名)が祀られていました。
黒潮が流れるこんなところにも大国主命が・・・と1人ニヤニヤするのでした。
太平洋の荒波で削られてできた「海蝕洞」

「御厨人窟」も「神明窟」も室戸岬東側にある断崖が太平洋の荒波で削られてできた「海蝕洞」。しかも洞窟がある場所は年々隆起しているため、今では海岸から少し高く遠くなっています。
空海が修行していた頃、こちらの洞窟は波打ち際にあったといわれているのでかなり大地が押し上げられているというのを肌で感じることができると思います。
室戸岬乱礁遊歩道(瞑想ウォーク)、ちょっぴりショートカット

「御厨人窟」を後にして室戸岬乱礁遊歩道へ。こちらでは自然の中を黙したまま自分と向き合う瞑想ウォークとなっています。
風雨が強いので実際のコースよりも短めのウォークとなりました。
室戸岬乱礁遊歩道は室戸岬の海岸沿い、中岡慎太郎像から室戸青年大師像までを結ぶ約2.6㎞のコース。先ほど訪れた空海ゆかりの御厨人窟の他、あこう ・はまゆうなどの亜熱帯植物、岩礁に砕け散る荒波、空海七不思議の「行水の池」「目洗いの池」、ビシャゴ巌などを巡るルートです。

激しい風の音や波しぶきなど自然界にある音だけを受け止めて、身を任せるのはどこか心地よく、もう少し歩いていたかったという参加者の声もありました。
瞑想ウォークの後は「MUROTO base 55」に戻り朝食を頂いた後、チェックアウトです。
Information
室戸岬乱礁遊歩道
住所:高知県室戸市室戸岬町
夫婦岩・唐谷の滝散策は足場が悪いので中止、再びお遍路へ

午前中訪れる予定だった夫婦岩・唐谷の滝ですが、雨で足元が滑りやすいということで中止に。急遽2日目もお遍路旅、四国霊場第25番札所である「津照寺(しんしょうじ、通称:津寺)」を訪れることにしました。
こちらは山の形が地蔵菩薩の持つ宝珠(ほうしゅ)に似ているところから霊地とし、空海が漁業と海上の安全を祈願して高さ1mほどの延命地蔵菩薩を刻んだものを本尊としているそうです。開創は807年(大同2年)。

本堂へ向かう参道はかなり急こう配。途中、一木権兵衛(いちきごんべえ)が奉られる一木神社があります。

一木権兵衛は普請奉行を務めた人物で、大変な難工事によりなかなか進まなかった室津港の改修で、海神に自らの命を捧げると誓います。すると、岩は砕け散り工事が順調に進んだことから、一木権兵衛は約束通り港の上の石登崎で自らの命を絶ったのだとか。
その徳をたたえ、津照寺で法要を営み、のちに一木神社を建立したそうです。
竜宮城を思わせる津照寺の鐘楼門

階段を昇り切った当たりにある鐘楼門。お遍路ではまず山門で一礼し、手水、鐘を突く、本堂での参拝、納経という流れになっています。
今回のウェルネスツアーでは鐘を突いた後、鐘の中に入り、音を全身に響かせるという体験をしてみました。

鐘を突くのは時刻を知らせる意味もありますが、参拝前に仏様に挨拶をするという意味、煩悩を祓う(除夜の鐘)という意味合いも。浄化や安らぎ、心を開放する力もあるということで、全身に響かせるのはよい波動をもらえそうですね。
ちなみにお遍路では参拝後に鐘を突く「戻り鐘」は縁起が悪いとされていますので、必ず参拝前に突きましょう。
延命地蔵菩薩を祀る本堂

1602年(慶長7年)に、公開中の土佐藩初代藩主・山内一豊公が室津沖で嵐に合いました。その時、1人の僧が現れ、船の楫(かじ)をとり、無事港に入ることができたそうです。翌日、この僧を追いかけたところ津照寺の本堂に消えていき、傍らの本尊がびしょ濡れであったという逸話が残されています。

それ以来、この本尊は揖取地蔵とよばれ、多くの船人から信仰されるようになりました。ご本尊は秘仏ですがお寺の大切な行事の時などには、ご開帳され、ご尊顔を直接拝むことができます。
Information
津照寺
住所:高知県室戸市室津2652-イ
問合せ先:0887-23-0025
「炭の家ほのぼの」で土佐備長炭の歴史や特徴を学ぶ

お遍路の後は「炭の家ほのぼの」へ。こちらでは土佐備長炭の歴史や特徴、作り方、地元の郷土料理である「田舎寿司づくり体験」を楽しませていただきました。
土佐備長炭発祥の地、室戸市の炭焼き名人・杉本正一郎さん

「炭の家ほのぼの」は杉本さんが自らの手で建てた炭の資料館です。「ほのぼの」は地区の名前「保能母(ほのぼ)」から付けられたもの。
資料館には備長炭やその他の炭、炭焼きの道具や写真などの資料、趣味として焼いている炭のオブジェなどが展示されていました。
備長炭といえば紀州?2015年には土佐備長炭が生産量日本一に

「備長炭」と聞くとすぐに思い浮かべるのが和歌山県の「紀州備長炭」。しかし、2015年に和歌山県を抜いて高知県が生産量日本一になっているそうです(参照元:日高新報より)。
室戸市は漁業の町として知られていますが約8割が山。山間部には備長炭の材料となるウバメガシ(備長炭作りに適した木)などが豊富にありました。
和歌山県(紀州)から生産技術を学び、高品質な生産が可能になったとのこと。
昭和初期には高知県独自の大窯、横くべ方式に改良され、1度にたくさんの炭を生産できるようになり、現在に至ります。備長炭の日本三大産地は和歌山・高知ですが、もう一か所は宮崎県となっています。
炭には大きく分けて「黒炭」と「白炭」がある

炭は大きく分けて火付きが良く、髙火力の「黒炭(くろずみ)」と、硬くて火持ちの良い「白炭(しろずみ)」があります。「黒炭」はナラやクヌギ、松などの木材を原料に400~800度ぐらいで焼いて炭化し、炭窯への空気を遮断することで鎮火して作ります。
「白炭」はカシを原料にじっくりと炭化させ、仕上げに窯の中へ空気を送り込んで1,000度以上で燃やした後、灰と砂をまぜたものをかけて急速に消火してつくります。備長炭はこの「白炭」です。
「白炭」は金属のように硬く、火付きが悪いのですが火力が安定するとうちわ一本で低温から高温までの火力調整が自由自在。高級な焼き鳥店やうなぎ店で愛用されているのもうなづけますね。
土佐備長炭を使って作った炭琴

「白炭」は硬く、叩くと金属のような音がするということからお手製の炭琴が展示されていました。
土佐備長炭をカットするのは容易なことではなく、専門のカッターが必要なのだとか。

見学の後、私たちのお土産用にと、杉本さんが土佐備長炭をカットしてプレゼントしてくださいました。お米を炊くときに入れたり、水道水に入れると汚れや匂いなどを吸着し、水をまろやかにしておいしくなります。
実際の炭焼きを行っている現場も視察

資料館見学の後は実際に炭を焼いている現場へ。土佐備長炭と紀州備長炭との違いは、原料であるウバメガシなどの窯への入れ方。

横から入れて縦に並べる紀州に対し、土佐では窯の上部から横に寝かせた状態で入れていくそうです。窯出しまで約2週間、1日10数時間かけて焼きあがった炭を出すというかなりの重労働。
以下、おおざっぱな制作工程です。
- 原木の伐採
- 原木の製材
- 乾燥(1週間)
- 炭化
- ネラシ(精錬、冷やす行程1日)
- 窯出し
- 選別、箱詰め、出荷
今回おじゃました時「今夜から窯出しがあるよ」というタイミング。杉本さんと室戸ジオパーク推進協議会のご厚意で、3日目の朝に見学させてもらえることになりました。
お昼ごはんは「炭の家ほのぼの」で田舎寿司づくり体験

炭焼き資料館などの見学の後は、お昼ご飯を兼ねて土佐田舎寿司づくり体験です。杉本さんの奥様が準備してくれました。
土佐田舎寿司は山間部の人々が身近にあるものを使って編み出したご馳走で、山菜などの山の幸をネタにした握り寿司のことです。「おきゃく(宴会)」文化の定番である「皿鉢(さわち)料理」に欠かせない一品となっています。

主なネタは“りゅうきゅう”と呼ばれるはす芋の茎や茗荷の酢漬け、しいたけ・こんにゃくを甘く煮付けたもの、たけのこなどなど。寿司酢に柚子酢を使うのが特徴となっています。

上写真の緑色をした押し寿司につかわれているのが“りゅうきゅう”。葉柄部分の皮をはいで塩でアクを抜いてから甘酢漬にしてあります。
アジを1匹丸ごとを背開きにして酢締めしたものにごはんを詰めたお寿司も作りました。しいたけは杉本さんの家で栽培したものだそう。

そういえば「炭の家ほのぼの」に向かう途中に、しいたけを栽培しているところを見かけました。

また、室戸市の海岸砂地などに群生する「ハマアザミ」の天ぷらと小エビの素揚げもご馳走になりました。ハマアザミは春を告げる食材の1つで、ちょっとゴボウににた味とシャキシャキ食感がとてもおいしかったです。
杉本さんご夫妻と楽しくおしゃべりしながらいただいた田舎寿司、柚子の香りも素晴らしく、他では味わえないおいしさ。
手間暇かけてつくられる“りゅうきゅう”や昨年の春に採って保存しておいたタケノコ、肉厚で香りが素晴らしいしいたけなどなど。なんとも贅沢な食材を使ったおもてなし料理は、温かな気持ちになります。
派手さはないかもしれませんが、室戸の暮らしを垣間見ることができる素敵な時間を過ごせました。
Information
炭の家ほのぼの
営業時間:8時30分~17時
※スタッフが不在な場合でも土佐備長炭資料館は開放されているそうです。
住所:高知県室戸市佐喜浜町3225-2
問合せ先:0887-27-2454
営業が再開された室戸海洋深層水スパ「シレストむろと」へ

1日目におじゃまする予定だった「シレストむろと」。メンテナンスが完了し、急遽行けることになりました。
室戸海洋深層水ははるか北大西洋北部・グリーンランド沖の海から2千年かけて室戸沖に沸きあがってきているといわれています。施設では室戸岬沖の水深700~1,000mから湧昇したものを、水深374mに設置した取水口から取り込んだ海水を使用。
特に室戸の海洋深層水は光が届かない場所からくみ上げるため、無機栄養に富み、温度変化が少ない、陸水や大気からの化学物質の汚染にさらされにくいという特徴があります。
- 低温安定性:年間を通じて温度が低く(約9.5℃)一定の為、水質の変化もなく安定
- 無機富栄養素:表層水よりも窒素・リン・ケイ素などの無機栄養塩類が豊富
- 熟成性:水圧30気圧以下で長い年月を経て熟成された海水
- ミネラル特性:必須微量元素やさまざまな成分が含まれており、海洋深層水特有の溶在状態にある元素も明らかにされつつある
- 清浄性:陸水由来の大腸菌や一般細菌による汚染がない
室戸市は海洋深層水を活用した日本で初めての場所となっています。
室戸海洋深層水の恵みを活かした健康増進施設「シレストむろと」
メインとなる施設は海洋深層水を使い、ドイツのハイドロセラピー(水療法)をベースにした、だ円形の温水プールです。温度は体温よりやや低い約34℃に保たれており、負担の少ない温度(不体感温度)。
遊泳するためのものではなく、水中運動やウォーキングを中心に利用する構造となっています。
「ボディマッサージゾーン」では身体の部位別に9つの水中シャワーを使ったマッサージを。「フローティングゾーン」ではプール底面からの強力な噴水流が出ていて、身を任せるとぷかぷかと浮いて心地いい感じ。
疲れもストレスもすっきりと洗い流してくれるような体験でした。
「アクアストレッチコーナー」ではパドリング運動や腰の回転運動が行えたり、地上ではできない懸垂もラクラク(私でも出来ました)。屋外にも外気浴じゃグリーがありました。
また、「アウフグース(フィンランドサウナ)」ではアロマの香りと熱波も体験。サウナの後に入る水風呂もあります。
高知大学医学部の研究に基づいた指導の下、さまざまな水中運動プログラムを実施しているそうで、日々の健康づくりはもちろんのこと、ご近所の方々の憩いの場にもなっていました。
Information
シレストむろと
営業時間:10時~21時、毎月第2、水曜日休み
使用料:一般大人1,600円、4歳以上小学生まで600円
※入浴のみも可
住所:高知県室戸市室戸岬3795-1
問合せ先:0887-22-6610
朝日が見える海辺の宿「民宿 徳増」

2日目の宿はお遍路さんからも好評な「民宿 徳増」です。室戸市の東海岸側にある佐喜浜町にあります。
おばあちゃん手作りのおふくろの味、新鮮な海の幸・山の幸を使った料理自慢の宿として有名で、ご主人はサーフィンが趣味。じゃんけんに勝って海が見えるお部屋を獲得しました。

ものすごい強風で白波が立っていますが、お部屋の中はとても静か。お遍路さんのためにコインランドリーもあって助かりました。

夕食は心づくしのお料理。室戸市東側の海底は急激に深くなる地形のため、沿岸近くの漁場で鮮度抜群、脂がのって肉厚の金目鯛が採れます。

そして天ぷらは白身魚とハマアザミなど。この白身魚、なんとマンボウなんだそう!びっくり。とてもおいしかったです。
明日は民宿の目の前にある尾崎海岸で浜ストレッチの予定。その後、「民宿 徳増」の離れにあるオーシャンビューの多目的スペースでブランチをすることになっています。
はたして晴れるのか!?やっぱり、晴れませんでした・・・。
Information
民宿 徳増
住所:高知県室戸市佐喜浜町107-5
問合せ先:0887-27-2475
■取材協力
室戸ジオパーク推進協議会
所在地:室戸市室戸岬町1810-2
問合せ先: 0887-22-5161
▼関連記事
・社員旅行・慰安旅行におすすめの「ウェルネスツーリズム」を大特集!社員のワーク・エンゲージメント向上に役立てよう
・社員旅行で人気の行き先ランキング
・高知団体旅行のプラン・料金一括見積り
社員旅行特集トップに戻る≫