月山神社・出羽神社・湯殿山神社と出羽三山を巡る1泊2日のオリジナルバスツアーも無事終了。山形駅西口で解散となりました。
しかし、もう1泊してアフター観光を楽しもうということになり、有志数名で通称・山寺と呼ばれる「宝珠山 立石寺(りっしゃくじ)」へ。松尾芭蕉が『おくのほそ道』の旅で訪れ、「閑さや 岩にしみ入る 蝉の声」と句を詠んだところです。
なかなか山形まで来る機会はないので、えいやっと延泊を決めて、皆さんと立石寺に足を延ばしてきました!3回目は番外編として、山形の食文化の素晴らしさとともに立石寺をご紹介しましょう。
【合わせて読みたい山形・出羽三山を巡る旅シリーズ】
・月山神社参拝(登山)&湯野浜温泉宿泊編
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立石寺(りっしゃくじ)についての豆知識をちょこっと!
「山寺」の通称で知られている「宝珠山 立石寺」、創建は貞観二年(860年)天台座主第3世慈覚大師円仁さんによって建立されました。天空の古刹とも呼ばれ、山全体が修行と信仰の場となっています(山形県公式観光サイトより)。
奥の院までの1,015段ある石段を登ると煩悩が消滅するとか。途中には“不滅の法灯”が灯る「根本中堂(こんぽんちゅうどう)」や「弥陀洞(みだほら)」、「開山堂・納経堂」など見どころも多く飽きさせません。
“不滅の法灯”とは、最澄の弟子である円仁さんが開山の際に本山延暦寺より分けられたもの。最澄さんがご本尊である薬師如来の前に灯して以来、1,200年以上消えることなく灯され続けている明かりのことです。
しかし、この延暦寺の「不滅の法灯」は一度消えていたことがわかりました。2022年5月11日にNHK「歴史探偵」によると、織田信長の「延暦寺焼き討ち」の時だそう。
この時、立石寺から法灯を分けてもらった延暦寺。このことにより、1,200年以上の間守られ続けたということですね。
山形駅からJRで山寺駅まで移動、乗車券は東京まで買っとくのがポイント!
3日目の朝、山形駅の改札に集合。ここからJR線で山寺駅に向かいます。
と、ここで旅慣れていらっしゃる関先生からのアドバイス「東京まで乗車券を買っておくのがお得」。帰りは山寺駅から仙台駅に在来線で向かい、そこから新幹線で帰ります。
この場合、山形駅から東京駅までの乗車券を購入しておくと途中下車可能だそうです。ということで、みんなみどりの窓口で同じルートの切符を購入。
JRの駅員さんが「天気が怪しいので早く帰った方がいい」とのこと。大雨が降ると電車が停まってしまう恐れがあるそうです。
お昼過ぎには引き上げる予定でいざ出発!
山寺駅に到着、立石寺の登山口を目指します
駅に到着してコインロッカーに荷物を預けていざ出発。雨がパラパラと降っています。土砂降りにならないことを祈りつつ、立石寺へ。駅からは徒歩約10分ぐらいです。
立石寺の場合、山寺の入口には「登山口」と書かれております。すでに石段が始まっている・・・。
拝観料をお支払いし、まずは「根本中堂」を目指します。
国指定の重要文化財「根本中堂(こんぽんちゅうどう)」へ
立石寺という御山全体の寺院の本堂に当たる「根本中堂」。延文元年(1356年)に初代山形城主・斯波兼頼が再建した、入母屋造・五間四面の建物で全体の6割がブナ材でできています。
ブナ材を使った建築物では日本最古といわれ、国指定の重要文化財指定。銅板板葺の内陣には、平安時代の一本木造り、慈覚大師作と伝えられる薬師如来像(秘仏・本尊)が安置されています(山寺観光協会ホームページより)。
内陣拝観料を納めると、“不滅の法灯”を見ることができるそうです。
入口には大きな木造布袋尊がありました。体をなでて願い事をすると叶うそうですが、大きなお腹をなでたらさらにお腹が巨大化しそうでそっとあとずさりしました。
そこかしこに巨石がゴロゴロ、写真を撮っていると飽きません
以前、金毘羅神社に行った際、「奥社」まで行くには1,368段もの階段を登らなければならないと聞いて倒れそうになりましたが、意外に大丈夫だったのを思い出しました(同行人は低血糖で倒れそうになっていましたが)。
森林浴をした気分でしばし巨石コレクションをお楽しみください。
岩がせり出している参道、最も狭いところは「四寸道」と呼ばれています。四寸は約12cmぐらいですから足の幅ぐらい?
姥堂からせみ塚にいたる間のようです(記憶なし・・・)。せみ塚は山門と仁王門の間にあり、芭蕉の句をしたためた短冊を納めた記念碑となっています。
ちなみに山門は鎌倉時代の作。仁王門は嘉永元年(1848年)に再建されたもので、左右に安置された仁王像は運慶の弟子作と伝わっています。
阿弥陀如来のお姿は見つかるか?「弥陀洞(みだほら)」
弥陀洞は長い歳月をかけて風雨が岩を削り、阿弥陀如来の姿をつくりだしたといわれる場所です。仏のお姿を見ることができた人には幸福が訪れるといいます。
必死で小さな目(老眼で近視&乱視)を見開きましたが・・・。
幸せは歩いてこない、だから自分で歩いていくんだね(三百六十五歩のマーチより)、ということで先を急ぎます。
仁王門をくぐり、多くの僧たちが修行に励んだ岩場を遠望
仁王門は嘉永元年(1848年)に再建されたけやき材の優美なつくり。邪心を持つ人は登ってはいけないと、左右の仁王像が睨みをきかせています。
正面に見える巌をかさねた岩場は「釈迦ヶ峰」というそうです。
危険な岩場を通り、お釈迦様のもとへいたる行場で、出世や欲望のための修行者が岩場から転落死したことも多かったと伝えられています。現在は修行者以外の登山は禁じられています。
立石寺の写真でよく見かける「納経堂」「開山堂」、絶景が広がる「五大堂」
「開山堂」は慈覚大師の御堂で、百丈岩の上に立っています。慈覚大師が眠る入定窟(自然窟)があるのはこの崖の下です。
開山堂には木造の大師尊像が安置されており、山内の僧侶が朝夕、食飯と香を供えてお勤めしています。
立石寺の写真でよく見かける岩の上にある赤い小さな御堂は写経を納める「納経堂」。山寺で最も古い建物で県指定文化財となっています。
そして開山堂のお隣、上にあるのが「五大堂」。五大明王を祀り、天下泰平を祈る道場ですが、山寺随一の展望台となっています。
少し曇っていて残念ですが、山寺周辺に広がる田んぼや貨物列車など、田舎の風景が眼下に広がっています。
山間を縫うように家が立ち並び、のどかで美しい風景。日本の古き良き原風景というところでしょうか。
御堂を渡る風がとても涼やかでしばし暑さを忘れました。
「奥の院」と「大仏殿」に参拝
ついに「奥の院」到着です。慈覚大師が中国で修業中に持ち歩いた釈迦如来と多宝如来を本尊とし、正式名称は「如法堂」。
この道場は慈覚大師が始めた石墨草筆・一字三礼の如法写経行が護られています。
向かって左側は「大仏殿」。高さ5m、金色の阿弥陀如来像を安置しています。
果たして、私たちの煩悩は消滅したのでしょうか?
Information
宝珠山 立石寺
拝観時間:8時~16時
入山料(山門 奥の院):大人300円、中学生200円、4歳以上100円
※30名以上の団体で割引あり
住所:山形県山形市山寺4456-1
アクセス:山寺駅より徒歩約5分
山寺名物“力こんにゃく”を食べて、煩悩退散!?
下山して真っ先に心を奪われたのはお醤油と出汁がシミシミの玉こんにゃく。山寺では“力こんにゃく”と呼ばれています。
円仁大師が中国で漢方薬として使われていたこんにゃくを持ち帰り、山寺で精進料理にしたのが始まりといわれています。
山寺でこんにゃくを食べると、心身ともにきれいになるということで、これは食べてもいいはず!味付け濃いめ(しょっぱめ)で、汗をかいた分の塩分補給に最適です。
関先生とここでビールを飲むべきかコソコソ協議するものの、ランチのソバ屋で飲もうという結論に。閻魔大王に聞こえてしまったでしょうか・・・。
Information
山寺 山門売店
営業時間:8時30分~17時、不定休
※冬期間(12月~翌3月)は休み
住所:山形県山形市山寺4456-1
アクセス:山寺駅より徒歩約5分
想像を超えたボリュームに山形のおそば、おそるべし
帰りの電車の時間があるので、急いで昼食を取ります。行きに関先生がチェックしていたおいしそうなおそばやさん「美登屋(みとや)」にGO!
みんなで天ぷらそばを注文したのですが、思ったよりもボリューミィでした。初めて紅花の天ぷらを食べましたがおいしかったです。
「美登屋」では山形県産のそば粉「でわかおり」を使用し、二・八の割合で手打ち。冬は青竹で打つ手打ちラーメンが人気のお店。夏は冷やしラーメンもやっているそうです。
おそばを食べて残すということはまずないのですが、さすがにお腹がパンパンで途中でリタイアしてしまいました。残してしまい申し訳ない気持ちでいっぱいです。
とてもおいしかったです。
Information
美登屋
営業時間:10時30分~16時、不定休
※冬期間(12月~翌3月)は11時~15時
住所: 山形県山形市山寺4494-5
アクセス:山寺駅より徒歩約4分、「根本中堂」登口から徒歩約2分
山形を旅して実感したのは「食の豊かさ」とおいしさ
1日目は山形駅西口に8時前集合だったため、皆さん前泊されていました。私も同行人(福島在住)とともに「スーパーホテル山形駅西口天然温泉」に前泊。
同行人は福島でデイサービスをやっているので、利用者さんを送り出した後、一緒に福島から車で向かいました。夕食を食べ損ねたので近くのレストランを紹介いただいたものの臨時休業。
すぐ近くにあった別のイタリアンレストラン「チョウジ」へ。
これが大当たりでした。自家菜園の無農薬野菜を利用したイタリアンで、山形県産ワインが飲めます。
まずは「生ハムのシーザーサラダ」。野菜がとても甘くて、シャキシャキしています。
よく冷えた高畠醸造のワイン「ブラン」を頂きました。デラウェア主体の白辛口、フルーティで爽やか、酸を感じる飲み心地です。
同行人は朝日町のワイン「マイスターセレクション シュールリーセベール9110」。
朝日町は山形県中央部、磐梯朝日国立公園の主峰、大朝日岳の東部山麓地域にあるワイナリーです。
「シュール・リー」とはフランス語で「おりの上」という意味。数ヶ月間以上タンクで貯蔵する製法で、酵母菌体よりアミノ酸やペプチドなどが溶け出し豊かなボディーと独特の香味を与えるのが特徴です。
「セイベル9110」というのはぶどうの品種で、気候的に難しい冷涼な産地でも育ち、フィロキセラ(アブラムシの一種)に強いアメリカ系品種と欧州品種を交配させたもの。
シャープな酸味が感じられるフルーティで辛口の白ワインでした。
揚げたてのポテトフライ、焼いたバゲット、アンチョビの利いたクリームソースをつけていただきます。にんにくが効いていておいしい。
ソースが残ったのでバゲットのお代りをいただきました。
そしてあさりのワイン蒸し。貝の身が大きく、しっかりしていて食べ応えがあります。
お食事のラストオーダー時間が迫っているのでパスタを注文。やっぱりお野菜のおかげでしょうか、ともかくコクがあって旨味たっぷりです。
最後に私だけ赤ワインを追加。
一番びっくりしたのがお値段。同じようなお料理を都内で食べたら1万円はしちゃいますが、こちらではおつりが出ます。とても得した気持ちになりました。
Information
イタリア料理「レストランテ・チョウジ」
営業時間:11時~14時/17時~22時
住所:山形県山形市双葉町1丁目8-6
アクセス:山形駅西口から徒歩約5分
山形は居酒屋のレベルもスゴイ!後泊では山形郷土料理「おしょうしな総本店」へ
関先生他、前泊された皆様で訪れたという山形郷土料理「おしょうしな総本店」。これが大当たりだったということで、後泊チームもこちらで夕食を楽しむことになりました。
山形の地酒やワイン、レモンサワーなどドリンクが充実。さらにお料理も素晴らしいとのことで楽しみです。
上の写真が突き出しのスティックサラダ。塩、肉みそ、マヨネーズが付いてきてお代り自由です。
野菜がパリパリ、新鮮でおいしい!
そしてスゴイと噂のお刺身の盛り合わせが出てきました。これはテンション上がります。
生わさびがついてくるので、専用のおろし金で擦りたてを頂けます。山形は大蔵村がわさびの産地として有名なようです。
他にも何カ所か産地があり、こちらのお店のわさびがどこ産のかはわかりませんが、ピリッとした辛さがほどよく、ほのかな甘みもありました。
圧巻なのがだし巻き卵です。
焼きあがったたまごをアツアツの器に入れ、テーブルで白だしをかけてくれます。パフォーマンスが素晴らしい。
この後もあれこれ注文しましたが、お酒が進むと写真を取り忘れます。どのお料理もとてもおいしく、山形の食文化、侮りがたしを痛感した旅でした。
ちなみに「おしょうしな」とは、山形のことばで「ありがとう」という意味だそう。「山形、おしょうしな~」。
Information
山形郷土料理「おしょうしな総本店」
営業時間:17時30分~23時30分(LO.22時30分、ドリンクLO.23時)
住所:山形県山形市十日町4-2-2 公園前ビル
アクセス:山形駅東口から徒歩約10分
番外編~立石寺に行ってきた~まとめ
山形といえば蔵王でスキーをしたぐらいしか思い出がなく、改めて今回旅行してみて自然の豊かさや食文化の素晴らしさに触れることができました。
青森、岩手、宮城、福島は旅したことがあり、それぞれ山の表情が違います。山形は厳しさの中にどこかやさしさ、懐の深さを感じる山だなと思いました。
もちろん、冬は大変厳しいと思いますが、岩手などはどちらかといえば「恐ろしい(神に対し恐れかしこまる)」という印象を受けたのを覚えています。
月山に登れなかったのは残念でしたが、いつかまたリベンジしたい。
皆さんもぜひ、山形へ足をお運びください。
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*ゆだぽんさん&山形・出羽三山を巡る旅参加者の皆さま、お写真の提供や撮影協力ありがとうございました!
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