昭和レトロなたたずまいが魅力の渋温泉。観光庁からの補助金で実施された1泊2日のモニターツアーに応募し、見事当選しました。
1日目<前編>は渋温泉名物の九湯めぐりを楽しんだ様子をご紹介しています。
2日目<後編>は、今まで一般の方に非公開だった源泉を見せていただくオプショナルツアーに参加。温泉旅館組合の山田和由組合長、老舗旅館「金具屋」8代目当主・西山平四郎さんによるご案内で、大変希少なひとときを体験できました。
金具屋当主の西山さんは効果効能を実感できる“本物の温泉の見分け方”も伝授。これからの温泉選びにぜひ参考にしてほしい情報満載です。
ではさっそく2日目の様子をご紹介していきましょう。
朝食はふじや旅館へ、温かいごはんと味噌汁が沁みます
朝食会場は前日、夕食をいただいたふじや旅館。雪が降る中、小石屋旅館から向かいます。
久しぶりにあじの干物やお漬物、温泉卵、揚げだし豆腐など心づくしのごはんをいただきました。
外は雪が深々と降っていますが元気をチャージ。いよいよ源泉見学、楽しみです。
降りしきる雪の中、「湯めぐりパーキング」集合で源泉ツアースタート
渋温泉街の脇を流れる横湯川を渡ったところにある「湯めぐりパーキング」に10時集合で源泉を見るツアーがスタートです。
渋温泉旅館組合の山田和由組合長に、地元組織「湯栄会」が管理する源泉へご案内いただきました。
今回の渋温泉モニターツアーが実施された背景には、源泉100%かけ流しの温泉地が意外に少ないという観点から企画されたものだそうです。
「温泉地は全国で約3,000カ所もありますが、加水・循環・塩素消毒などを一切していない温泉地は1割にも満たない。そんな現状の中で渋温泉はどの旅館も源泉100%かけ流しのお風呂を楽しんでいただけます。
この貴重な資源を再評価し、ぜひ多くの方に体験して欲しい。そんな思いで観光庁の“観光地に眠る観光資源を磨き上げる補助事業”に応募し、無事認可されました。
今回のモニターツアーはその助成金を財源として催行しています」と山田組合長。
湯栄会が管理している源泉の温度はなんと97度、毎分約100リットル湧出しています。こちらは昭和20年代に堀ったもので、4件の旅館で分け合っているとか。
その後、すぐ2mほど離れた場所を堀ったものの、温泉は出ず。まさに源泉を掘り当てるのはギャンブルのようなもので、決して容易なことではないということです。
渋温泉ではどの旅館もすべて源泉100%のかけ流し。加水・循環はせず、塩素消毒もありません。まさに自然の恩恵をそのまま体感できる極上のお湯です。
『無料で湧いたものを利用して、楽して商売してる』と心無いことばを投げかけてくる人もいると山田組合長。しかし、温泉を掘り当てるには“運とお金”がかかりますし、その後もメンテナンスに“労力や費用”もかかる。
決して「楽して商売」しているわけではありません。
源泉が流れるパイプはすぐにお湯に含まれる塩化物などがこびりつき、月1回各旅館持ち回りで掃除をしているそうです。パイプそのものの交換も必要なので、見えないところで苦労や努力を重ねています。
渋温泉のお湯が今も湯量たっぷりに楽しめるのも、地元の方々の血のにじむような努力のおかげなのだと感じました。
源泉を各宿に分配する「分湯枡(ぶんとうます)」を初見学
源泉を見学した後は、先ほどの源泉から4つの宿へ引き入れるための分湯枡(ぶんとうます)を見に行きました。渋温泉では源泉を引き入れるパイプが道路の下に張り巡らされており、その熱で雪が解けるという仕組みです。
石畳の温泉街の下は、共同浴場から排出された温泉が流れているため、雪がなく歩きやすくなっていました。最終的に温泉は横湯川へと流されているそうです。
金具屋当主・西山さんにバトンタッチ!自家源泉を特別公開
続いて金具屋当主・西山さんにツアーガイドをバトンタッチ。金具屋では自家源泉を4つ所有しており、こちらはその一つです。
源泉は通常、複数の旅館が所有しているため、なかなか一般の方に見せるのは難しい(すべての宿の同意が必要)とのこと。「金具屋の場合、自家源泉なのでご案内が可能です」と西山さん。
金具屋では宿泊客限定で毎朝源泉ツアーを実施しているそうです。
こちらの源泉は「金具屋第3ボーリング」で、深度は100mぐらい。温度が80度半ばのため、吹きあがってこないため、コンプレッサーでお湯をくみ上げているそうです。
第3ボーリングの源泉は、岩窟の湯(一部)・潜龍荘の客室の風呂及び洗面の湯・浪漫風呂の洗い場で使用とのこと。
金具屋ではお部屋の暖房や洗面などで使うお湯も源泉100%かけ流しを使っています。なんとも贅沢ですね。
また金具屋第3ボーリングは、飲泉の許可を取っているということで、特別に温泉の湯気が結晶したものをなめてみる体験ができました。
口に含むとしょっぱさ、酸っぱさとともに、なんといえない渋みが広がります。ナトリウム・カルシウム―塩化物・硫酸塩温泉の中に含まれる硫酸塩の特徴だそうです。
渋温泉の名前の“渋”はこの温泉の味に由来するという説があるそう。さらにもう一つ、渋温泉が善行寺側から見て行き止まりの場所にあるということに由来するという説もあるようです。
渋という漢字の旧字は「澁」。つまり「止」が三つ重なりますね。
海のなかった長野県は、塩を得るのに大変苦労した歴史がありました。塩尻という地名も、塩を売り歩く業者がちょうどその辺りで品切れになることからそう呼ばれたという説、日本海側・太平洋側それぞれから運ばれてきた塩がこの場所で出会う“塩の道の終点”という説があるそうです。
塩の入手に苦労していた地域は、温泉から採れる塩を活用していたのかもしれません。
金具屋駐車場にある第2ボーリングでは、熱々の源泉に触れる体験
続いて金具屋駐車場へ移動。こちらには第1、第2ボーリングと2つの源泉があります。位置が50mぐらいしか離れていないため、泉質がほぼ同じ。金具屋では混合して使用しているそうです。
こちらのお湯は98度で泉質は弱アルカリ性。色は無色透明ですが、硫黄の匂いが混ざります。
硫黄成分は火山性の温泉に含まれるのが特徴。志賀高原の熊の湯などは特に硫黄成分が多く、鮮やかな黄緑色のお湯(硫化水素泉)をしています。
日本で最も硫黄成分を多く含むのは万座温泉。酸性度が強いため、肌の弱い方は向かないそうですが、殺菌力が高いので皮膚病への効果が高いそうです。
こちらの源泉では、熱々の源泉にちょっぴり触れる体験をさせていただきました。
金具屋第1ボーリングで大盤振る舞い!?源泉が吹きあがる間欠泉を経験
先ほどの第2ボーリングからすぐの場所にある第2ボーリングでは、間欠泉のように噴き上げる迫力ある源泉の様子を見せていただきました。
深度70mと比較的浅いものの、100度を超える源泉が水蒸気と共に吹き上がるのにびっくり。金具屋の露天風呂や貸切風呂などで使われ、冬場は暖房の熱にも使用されています。
かつては灯油などで暖房をしていたそうですが、温泉の熱に切り替え、SDGsにも貢献。それも源泉の温度が100度を超えるからこそできると、西山さんはおっしゃっていました。
吹き上げた源泉はバケツに貯めて、肌に温泉成分が浸透する様子を体験。バケツの温泉に手のひらをそっと触れさせるを3~4回繰り返した後、ハンドクリームを塗るように浸透させます。
肌がやわらかくしっとりして、温泉の効能をその場で実感できる希少な経験でした。
“九湯めぐり”の九番湯「渋大湯」の源泉へ
続いて前日、渋温泉の九湯めぐりで立ち寄った九番湯「渋大湯」へ。男湯入口向かって右手に、源泉へアクセスする出入り口があります。
こちらは以前、地元関係者のみが入れるようになっていたため、簡便なはしごを降りていく構造になっていました。今回のモニターツアーで渋温泉の源泉の魅力に触れてもらう体験の一環として、年明けに階段を整備。
4日前からその階段を使って地下にある源泉まで降りることができるようになったそうです。
源泉が湧出している上は蒸気風呂。渋大湯の場合、源泉100%の混じり気なしの蒸気で蒸される贅沢な仕様となっています。
高温の蒸気が吹きあがっているため、源泉を撮影しましたが煙ってよくわからないですね。
外は雪が降り、大変寒かったのですっかり温まりました。
こちらの源泉は一度埋まってしまったものを苦労して探し当て、掘り起こしたものだそう。地下深くにあるのは、江戸時代の地層がこの高さだったことを物語る痕跡。
とても興味深い体験でした。
最後は金具屋で“本物の温泉の見分け方”をレクチャー
最後に、金具屋の玄関ロビーで本物の温泉とはどんなものなのかをレクチャーいただきました。今回渋温泉モニターツアーが開催された背景には、「温泉に入っても効果がない」という声があったことも挙げられます。
金具屋当主・西山さん「温泉の泉質や効果効能についてよく紹介されていますが、実際にお風呂場などに掲示されているものをきちんと確認したことがありますか?
温泉成分のところに“加水の理由・加温の理由・循環の理由・浴剤の名称又は消毒方法及びその理由”という項目があるのでそこを必ずチェックしてください」とのこと。
ちなみに金具屋の温泉成分には、上記すべての項目について“なし”となっています。つまり、一切手を加えていない源泉100%かけ流しの温泉であることの証です。
源泉に手を加えるのは、湧出量が枯渇してしまっているなどさまざまな理由があります。“源泉かけ流し”とうたっていても、循環・消毒しているケースは多く、なかなか渋温泉のように手つかずというのはレアケースだそうです。
加水や循環している温泉の場合、どうしても含有成分が薄くなり、効果を実感できないのも当たり前のこと。
温泉に含まれている成分に対し、一般的な適応症がありますが、泉質別の適応症というものもあるそうです。つまり含まれている成分の量、割合、バランスでも効能は変わるということ。
金具屋の泉質(第1ボーリング、第12ボーリング)場合、きりきず、末しょう循環障害などの他に「うつ状態」「アトピー性皮膚炎」「尋常感染」「慢性湿疹」「表皮化膿症」によいとあります。
江戸時代によく湯治として長逗留し、心身の疲れや病を癒すということが行われてきましたが、ぜひ現代にも蘇らせたいと西山さん。リモートワークが可能になっているので、温泉地に滞在しながら仕事も湯治も両方楽しむなら、今がチャンスかもしれませんね。
金具屋当主・西山さんによる自分に合う、効果効能が得られる温泉の見つけ方は以下の通りです。
- 温泉は泉質で選ぶ(どんな効果が欲しいのか)
- 源泉100%かけ流しを選ぶ(加水、循環、塩素消毒などをチェック)
今回催行された渋温泉の源泉を見るツアーは、今後アクティビティとして定番化していきたいとのこと。渋温泉の旅館はすべて源泉100%かけ流しのお湯なので、ぜひ皆さんも訪れて、本物の温泉の実力を体験してみてはいかがでしょうか。
源泉でつくった温泉卵をお土産に!
ツアーの最後に、最初の湯栄会が管理する源泉でつくった温泉卵をお土産としていただきました!
こちらの源泉は100度近くあるため、半熟ではなく固ゆでになってしまうそう。温泉パワーたっぷりのゆで卵はおいしかったです。
帰りは行きと逆ルートで東京・新宿へ
長野駅発・バスタ新宿行きのバスが15時なので、ツアー後帰路につきます。雪でたどり着けないと危険なので昼食は長野駅周辺でとることにしました。
タクシーが混みあっていたので路線バスにします。ほぼ定刻通り、バスが到着。湯田中駅発のA特急ゆけむり号に間に合いました。
20代の頃、志賀高原・熊の湯に毎年通い詰めてスキーに熱中していましたが、渋温泉を訪れたことがありませんでした。今回、幸運にもモニタツアーに当選し、初めて渋温泉を訪れる機会を得ました。
こじんまりとした温泉街ではありますが、失われつつある昭和レトロな懐かしい光景が広がる懐かしい街並み。大ヒットアニメ「鬼滅の刃」ファンならワクワクするような景色が広がっています。
日頃の仕事の忙しさと九湯めぐり疲れで夜遊びもせず、早々に宿でダウンしてしまったのが心残り。次回は地獄谷野猿公苑にも足を延ばしてみたいです。
職場旅行や家族旅行でぜひ渋温泉を訪れ、本物の湯治を堪能してみてはいかがでしょうか。源泉100%かけ流しの贅沢なお湯を体感してくださいね。
ちなみに貸切バスで訪れた場合のおすすめプランやバス料金目安は、姉妹サイト「貸切バスの達人」をぜひ参考に!
長野・渋温泉へ昭和レトロなバス旅行はいかが?1泊2日のモデルコース
引用元:貸切バスの達人より
2日目のコース・振り返り
小石屋旅館チェックアウト~渋温泉モニターツアー10時出発~湯栄会が管理する源泉見学・分湯升・金具屋源泉見学・渋大湯源泉見学11時30分終了~お土産購入~バスで湯田中駅へ~湯田中駅発12時31分発~長野駅13時13分着~昼食~高速バスでバスタ新宿駅へ(15時発・18時47分着)
帰りの交通費:4,100円
お土産代:3,000円ほど(ジュース、お菓子などを購入)
宿泊費(1泊2食付き):モニターツアーに含まれているので支払いなし
渋温泉団体・グループ旅行でおすすめのアクティビティ
渋温泉の観光名物といえば地獄谷野猿公苑。世界で唯一温泉に入る猿として海外のお客様にも大人気のスポットになりました。
渋温泉から上林温泉無料駐車場まで車で6分、そこからさらに徒歩で約35分のところにあります。いつでも温泉に入っているわけではないので、公式ホームページのライブカメラでチェックして出かける達人も。冬季は営業時間が短くなっているのでご注意ください。
野猿公苑から近いのが山ノ内町立志賀高原ロマン美術館。1998年開催の長野オリンピックを記念して建てられました。渋温泉から車で約6分です。
設計は黒川紀章さんで、円錐の透明ガラスで作られたミュージアムショップ棟が併設。山ノ内町出身の児玉果亭(かてい)さんの作品や、現代ガラス作家・吉本由美子さんの作品、ローマングラス(紀元前後にローマ帝国で作られた出土ガラス)などを展示しています。
また渋温泉から車で約22分のところにある竜王マウンテンリゾートでは、冬はスキー・スノボー、春から秋にかけてのグリーンシーズンは雲海テラス、星空ナイトクルーズなどが楽しめる注目のスポットです。
グランピング施設があるので避暑に最適。渋温泉にも泊まりながらのんびりするのもいいですね。
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