今年は暖冬になるとの気象庁の長期予報にホットしている、還暦過ぎのおぢさんライターRです。
そうはいっても朝晩の冷え込みは老体にはこたえますねー。皆様いかがお過ごしでしょうか?
さて今回、編集部から依頼されたのは『日帰りでも楽しめる箱根社員旅行プランを考えろ』です。先の台風19号で大きな被害を受けたあの箱根です。
「登山鉄道の復旧もままならない箱根に行くの?」と聞き返す私。『鉄道がだめなら貸切バスがあるでしょ。こんな時だから箱根を応援するの!』という編集部からのおことば。
というわけで行ってきました天下の険。山あり谷あり、芸妓あり、温泉ありの珍道中、はじまりはじまりー。2回に分けて楽しみ方をご紹介しましょう。
【前編】では「箱根旧街道」を実際に歩いた体験談と感想をレポート。
【後編】では湯本見番で芸妓さんと楽しいお座敷遊び体験と日帰り温泉「箱根湯寮」をレポートしますよ。
箱根社員旅行日帰り歴史探訪&芸妓体験プランモデルコース
箱根湯本駅10時頃出発==箱根旧街道ウォーキング(甘酒茶屋で休憩)==元箱根周辺でランチ==芦ノ湖遊覧・箱根関所見学など==箱根湯本「芸妓見番」で16時からお座敷遊び体験==「箱根湯寮」で日帰り入浴==新宿駅
日帰りプラン1人当たりの予算
(1)箱根湯本駅から路線バス利用の場合 1人12,500円前後
・小田急ロマンスカー(新宿~箱根湯本)往復4,642円
・箱根登山バス 1,700~2,000円ぐらい
・芦ノ湖遊覧船 大人片道360円(箱根関所跡~元箱根港)
・箱根関所 大人500円
・湯本芸妓見番 お座敷体験 大人1,500円
・箱根湯寮 大人1,500円
・飲食代 2,000円
(2)新宿駅から貸切バス利用の場合 1人あたり10,000~11,000円
・大型観光バス(40名利用)133,472円 1人3,337円
・中型観光バス(25名利用)113,460円 1人4,538円
・マイクロバス(20名利用)95,218円 1人4,761円
※料金はすべて税別
※高速代、バス駐車場代はバス1台あたり15,000円ぐらい
※走行距離280㎞、9時出発で20時に帰着が目安
目次
- 台風被害が残る箱根の現在の様子は?
- 石畳が残る「箱根旧街道」を調査
- 「箱根八里」とは?
- 日帰りなら路線バス(もしくは貸切バス)利用がおすすめ
- 「甘酒茶屋」で元気を充電
- 江戸時代は難所だった箱根旧街道
- 石畳の前は竹敷だった
- 旧街道を歩いてタイムスリップ(石畳でスリップ!?)を楽しもう
社員旅行の場所として魅力的な箱根!台風被害が残る現在の様子は?
箱根の魅力と言えば、まず首都圏からのアクセスが抜群にいい、ということ。新宿から小田急ロマンスカーに揺られること1時間半で箱根の玄関口「箱根湯本」に到着です。
おぢさんもさっそく最寄りの駅からロマンスカーに乗車しました。車内販売のコーヒーをすすりながら、小一時間ほど列車の旅気分を味わっているとあっというまに湯本駅に到着です。
25人以上という大人数ならロマンスカーが15%割引になります。また、貸切バスをチャーターすれば、現地での移動もラクラクです。
というのも(2019年11月現在)、箱根登山鉄道復旧の見通しが立たず、箱根湯本駅から強羅方面、仙石原方面などは路線バスによる代替輸送になっています。
このため、観光客がバス停に大行列を作っており、思うように移動できないというのが実情。幹事さん、お気を付けて。
いまなお残る石畳「箱根旧街道」を調査せよ!
さて、編集部からの「指令その1」は、なんと箱根八里を実体験しておもしろいかどうか調査せよ、というものです。要するに箱根の旧街道を走破せよ、という企画。
還暦を過ぎたライターになんと過酷な指令。箱根の山道といえば、バイク仲間とのツーリングで何度も走りました。バイクなら、アクセルを回すだけで峠道をスイスイと登れるのに・・・。
「天下に旅する剛毅の武士 大刀腰に足駄がけ」とはいきませんが、あの有名な旧街道石畳にチャレンジすることになりました。
登り・下りをあわせて箱根八里 『箱根の山は天下の険』がよーくわかる
ここで、「箱根旧街道」をざっとおさらいしましょう。徳川幕府によって整備された旧東海道の一部、通称「箱根八里」の名で知られる天下の難所だったところです。
小田原から芦ノ湖畔までの登り四里。芦ノ湖畔から三島までの下り四里。これをあわせると箱根八里となります。
有名な旧街道石畳 (国指定史跡) は、上り途中の畑宿から芦ノ湖畔まで石畳が整備され、当時のおのかげをしのびながら散策することができます。
芦ノ湖畔にある旧東海道の杉並木は樹齢約400年。つまり1618年(元和4年)に植えられたと伝えられています。
箱根旧街道“湯本~箱根コース(石畳ルート/屏風山ルート)は、ハイキングコースとしてポピュラーなもので、お子さんやご年配者でも問題なく走破できるとか。
石畳ルートは全長9.5㎞(所要時間片道約90分~120分)、屏風山経由は全長9㎞です。
日帰りツアーなら、路線バスに乗って登り四里はショートカットがおすすめ
ということで、もちろん私も「箱根湯本駅」から路線バスで出発です。旧街道を経由して芦ノ湖畔に向かう「元箱根港行」のバスに乗車(甘酒茶屋まで710円)。
本来なら旧街道の始点となっている三枚橋から歩くところなのですが、日帰りツアーという条件つきですので、今回は登りの8割程度をバスに乗って省略。一気に箱根旧街道休憩所を目指します。
対向車とすれ違うのがやっとというような細い道がくねくねと続きます。が、さすがプロのドライバー!苦にする様子もなく、軽快なハンドルさばきでグングンと高度を上げていきます。
しかも最近の箱根に来るお客様の半分近くは、海外からの観光客(インバウンド)とあって、さらっと英語で対応していらっしゃいました。
メジャーな強羅や仙石原は大行列していた路線バスですが、旧街道を経由するルートは車内に比較的余裕があります。右に左に揺られること30分ほどで目的地のバス停に到着しました。
社員旅行でお越しの際は、貸切バスで茶屋まで送ってもらい、元箱根でお迎えが便利。もし、ゴルフ組、観光組に分かれて現地で自由行動なら路線バスが利用できますよ。
旧街道のオアシス「甘酒茶屋」でまずは元気を充電
猿もすべるといわれる急坂「猿すべり坂」の次が「甘酒茶屋」のバス停。ここが現在唯一残された箱根旧街道休憩所で、バス停を降りたすぐ目の前にあります。
江戸初期の創業で現在の当主がなんと13代目。かやぶき屋根に囲炉裏もある古民家風のなんとも風情のあるお休みどころです。
このお店の売りは名前の通り甘酒です。地元産のうるち米と米麴だけで仕込んだ甘酒は、祖母がよくつくってくれた甘酒のように、甘さ控えめの昔懐かしいが味がする一品。
今でこそ「峠の茶屋」は一軒だけとなっていますが、江戸の頃は10軒以上も街道沿いにあり、関所を目指す旅の人々の疲れを癒したとのことです。
甘酒はもちろんのこと(本当はおかわりしたかった!)、おすすめの「黒ゴマきなこ餅」もしっかりとおなかに収め、さあいよいよ旧街道散策に「おたーちー」です。
江戸の頃は泥に足がはまってさあ大変、という難所だった
旧街道の登り口は「甘酒茶屋」の裏手にありました。ちょうど人一人が通れるぐらいの山道です。
15分ほど歩いていくと、道幅が少し広くなり登りも徐々にきつくなってきます。気が付けば、周囲には誰もおらず (そもそも平日だったので) たった一人。
うっそうとした森。薄暗い旧街道を上りながら「この道でいいのかな」とちょっと不安になってきたその時、ついに石畳の登場です。
石畳とはいっても平らに敷き詰められているわけではありません。前日が雨模様だったこともあり、ごつごつとした石畳の上は滑りやすく、足場は泥でぬかるみ、一歩一歩転ばないように上っていきます。
「羊腸の小径は苔なめらか」とはまさにこのこと。江戸の頃は足が泥にはまってしまうほどの難所だったそうです。「大刀腰に足駄かけ」のお侍さんも大変だったでしょうね。
石畳の前は竹が敷き詰められていたという旧街道
石畳が敷かれる前は「箱根竹」が敷き詰められていました。ところが竹は数年で腐ってしまいます。
あっというまに元の泥の道に逆戻りとなってしまうことから、石を敷き詰めたとのことです。この石畳は箱根峠から三島までの間の、10キロにわたって設置されています。
峠道の途中で見つけた手ごろな枯れ枝を杖替わりに、30分ほど坂を上っていきます。少し息が上がり額に汗がにじんできた頃ようやく下り坂となりました。
下り始めると、木々の間から時折、芦ノ湖の青い湖面が見え隠れします。もうすぐ湖畔に出ると思うと疲れた足もなんとなく軽くなるような気がします。
しかしその先には「入り鉄砲に出女」で知られる天下一厳しい関所が待ち受けていたわけですから、当時の人々も複雑な気持ちだったのではないでしょうか。
箱根旧街道を歩けは、往時の頃にタイムスリップできちゃう? !
甘酒茶屋から芦ノ湖畔までのショートカット旧街道散策。登り約40分に下り約20分。
「剛毅のもののふが八里の岩根を踏み鳴らす」までには至りませんでしたが、石畳の旧街道を散策すれば、箱根の森の深さと緑を体感すること請け合いです。
森閑とした街道にたたずんで登ってきた道を振り返ると、ちょんまげ姿の旅人さんに出会える。そんな気がしてくる街道ウォーキングでした。
一つだけアドバイスがあります。足元はしっかりした履物で。くれぐれもハイヒールはご法度です。滑りやすい靴底(革靴など)も危ないですよ。
タイムスリップどころか、石畳でスリップしちゃいますのでご用心。
<Information>
箱根旧街道
アクセス方法: 箱根湯本駅から旧街道経由元箱根港行き箱根登山バスで「旧街道石畳」下車
箱根 甘酒茶屋
住所: 神奈川県 足柄下郡箱根町畑宿二子山395-1
電話:0460-83-6418
営業時間:7時~17時30分、無休
アクセス:箱根登山バス「甘酒茶屋」下車すぐ
日帰りで楽しめる箱根歴史探訪&芸妓体験プラン【前編】まとめ
まずは箱根旧街道の様子をレポートしました。いままで何度も箱根には旅してきましたが、旧街道を歩くのは初めて。思っていたよりもおもしろかったというのが感想です。
「甘酒茶屋」も雰囲気たっぷり!江戸時代の旅人たちをお迎えしてきた、ほっと和む雰囲気で、甘酒もお餅もおいしかったです。歩くのは嫌という方は、路線バスで気軽に行けますのでぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
さて、後編では箱根湯本のきれどころとお座敷遊び体験。そして箱根の名湯で疲れをいやします。こうご期待!
※「台風19号」の影響により運休していた箱根登山鉄道は2020年7月23日(木)より運行再開!
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