宮城県大崎市にある鳴子温泉は、福島県・飯坂温泉、宮城県・秋保温泉とともに「奥州三名湯」に数えられてきました。鳴子温泉駅を中心に、大型ホテル、旅館、湯治宿など色々なタイプの宿が立ち並ぶにぎやかな温泉街です。
「続日本後記」によると、837年に潟山が噴火した際に温泉が湧き出したという記録が残っているので、その歴史は約1200年!江戸時代中期頃に宿が建ち始めてからは、湯治場として人が多く集まるようになります。
地名の由来は諸説ありますが、源義経と正妻・郷御前(さとごぜん)の間に生まれた亀若丸が産声を上げた地であることから「なきこ」と呼ばれるようになり、それが徐々に「鳴子」へと変化していったという云い伝えが残っています。伝承によると産湯もこの地で浸かったという、歴史ロマンを感じる名湯です。
鳴子の「尿前の関」から山形県の境田までの約5.2kmは、義経伝説に心動かされた松尾芭蕉が通ったと言われる「おくのほそ道」(遊歩道)として整備され、天然林の山道を散策することができます。
また、伝統こけし、鳴子こけしの里としても有名で、温泉街を探索していると、あちらこちらでこけしと出会えます。
この辺りでは、「鳴子温泉」「東鳴子温泉」「川渡温泉」「中山平温泉」「鬼首温泉」の5ヶ所の温泉地を合わせて『鳴子温泉郷』が形成されています。鳴子温泉郷は日本国内にある11種の泉質のうち9種を持ち、源泉数は370本以上。
5ヶ所の温泉地+山形県の「赤倉温泉」「潮見温泉」のどこでも使える湯巡りチケットがあるので、これを利用してさまざまなお湯を楽しむこともできます。普段の湯色は透明ですが、源泉に近い為、日によって乳白色や淡い紫色になることも。
周辺には、湯を噴き上げる「鬼首間欠泉」、 温泉水と蒸気で一杯となる「地獄谷遊歩道」、幻想的な色彩の酸性湖「潟沼」、変化に富む渓谷美を有す「鳴子峡」などがあります。
鳴子温泉の場所は?アクセス方法
鳴子温泉は東京・埼玉・千葉・神奈川から車で約5時間。電車だと3〜4時間ほどで到着します。
また、関西国際空港・中部国際空港・新千歳空港から仙台空港までPeachが就航しています。各空港から秋保温泉までの所要時間は約2時間、航空料金も安い時期なら土日で片道5,000円〜8,ooo円ほどと、実は関東出発の場合よりも好アクセスです。
飛行機の場合も電車の場合も仙台駅を経由するので、仙台駅までは各自移動し、そこからはみんなで貸切バスで向かうというのも楽しそうです。
鳴子温泉への団体・グループ旅行おすすめモデルプラン
飛行機・バス・新幹線と出発地によってアクセス方法が異なる鳴子温泉。東京・大阪・気仙沼出発のモデルコースを考えてみました。
鳴子温泉1泊2日団体・グループ旅行プラン
海鮮や牛タン、日本酒など美味しいものたくさんの宮城県。温泉だけではなく宮城のグルメも楽しみましょう!
東京出発1泊2日モデルコース
仙台駅まで各自移動し、仙台駅からは貸切バスで移動するプランです。まずは宮城の酒造「一ノ蔵」併設の「地酒屋 華の蔵」で、宮城のそば粉を使用したおそばや酒ソフトクリームをいただきます。
2日目は、2020年・2021年と2年連続で「じゃらん」全国道の駅グランプリ満足度1位を獲得している「あ・ら・伊達な道の駅」でショッピングした後、「塩釜市魚市場」で新鮮な海鮮ランチを堪能します。
1日目 東京駅→仙台駅→貸切バスで出発→「地酒屋 華の蔵」12時着(昼食・酒蔵見学)→鳴子温泉15時着(湯巡りなど各自散策)
2日目 鳴子温泉10時発→「あ・ら・伊達な道の駅」10時20分(ショッピング)→塩釜市魚市場 12時着(昼食・ショッピング)→仙台駅→東京駅着終了
【旅費予算】
1人あたり 25,000~40,000円
大阪出発1泊2日モデルコース
1日目は、日本三景の一つ・松島で牡蠣食べ放題や海鮮丼ランチと観光を楽しみます。瑞巌寺や円通院を見学したり、「松島島巡り観光船」で松島の美しい景色を海から堪能できます。
2日目は牛たんランチと青葉城址見学。伊達62万石の居城であった青葉城跡には政宗公騎馬像が立っていて、仙台市街を一望することができます。
城址内の「牛たん本舗 青葉城」と日本料理「仙臺」では牛たんランチがいただけます。牛タン以外にも、「はらこ飯」や蒸しホヤなど宮城ならではのメニューがありますよ。
1日目 関西国際空港9時25分発→仙台空港10時45分着→貸切バスで出発→松島12時着(昼食・観光)→鳴子温泉15時30分着(湯巡りなど各自散策)
2日目 鳴子温泉10時発→青葉城址11時30分着(昼食)→青葉城見学→仙台空港14時着→関西国際空港16時20分着・解散
【旅費予算】
1人あたり25,000~40,000円
宮城出発1泊2日モデルコース
港町・気仙沼出発のプランは、内陸の景色や食を楽しめるコースにしてみました。1日目は、ラムサール条約登録湿地の伊豆沼と、かんけつ泉や地獄谷遊歩道がある鬼首温泉に立ち寄ります(かんけつ泉と遊歩道は冬期閉鎖)。
伊豆沼は、冬には白鳥をはじめ様々な渡り鳥が見られ、夏には可憐な蓮の花が湖面を埋め尽くします。また、「伊達の純粋赤豚」のハムやウィンナーを製造販売する「伊豆沼農産」では、ウィンナーづくり体験や農家と「つながる」BBQ、オーナー農園を始めとする体験プログラムが社内研修としても人気です。
2日目は、2020年・2021年と2年連続で「じゃらん」全国道の駅グランプリ満足度1位を獲得した「あ・ら・伊達な道の駅」でお買い物をしてから、NHK連続テレビ小説「おかえりモネ」の舞台にもなった登米市へ。登米自慢のうなぎランチや「明治村」「武家屋敷通り」、「おかえりモネ」のロケ地などが見どころです。
1日目 気仙沼9時発→伊豆沼10時着(体験プログラム・昼食)→鬼首温泉14時30分着→鳴子温泉15時30分着(湯巡りなど各自散策)
2日目 鳴子温泉10時発→「あ・ら・伊達な道の駅」10時20分着(ショッピング)→登米12時着(うなぎランチ・散策)→気仙沼15時着・解散
【旅費予算】
1人あたり15,000~30,000円
鳴子温泉人気スポットランキング
鳴子といえばこけしと紅葉が有名です。また、電車に乗れば手軽にほかの温泉へ行けるので、小旅行気分も楽しめます。
鳴子温泉郷の5つの温泉地で湯巡りしながら、観光を楽しむのもおすすめです。
第1位 鳴子温泉郷 湯めぐり
9種類もの源泉を持つ鳴子温泉郷。鳴子温泉郷の「鳴子温泉」「東鳴子温泉」「川渡温泉」「中山平温泉」「鬼首温泉」+山形県最上温泉郷の「赤倉温泉」「潮見温泉」で使える湯巡りチケットが人気です。
湯巡りチケットは1つ1,300円。シールが6枚ついていて、それを各入浴施設で渡して入浴します。
入浴に必要なシールの枚数は施設によって異なり、6枚全てを使い切れば湯巡りチケットを買わずに入浴するよりも安い金額で湯巡りを楽しめるというシステム。東鳴子・川渡・中山平へは鳴子温泉駅から電車で3〜10分ほど、赤倉・潮見までは電車で10~20分で行くことができます。
鬼首温泉のみ電車ではなく大崎市営バスに乗り約30分です。せっかく鬼首温泉に行くなら、第4位で紹介する「鬼首かんけつ泉」や「鬼首地獄谷遊歩道」の散策もおすすめです。
Information
■鳴子温泉郷 湯めぐり
営業時間:施設により異なる
料金:1,300円/湯めぐりチケット1枚(シール6枚)
第2位 こけしの絵付け体験
福島県・土湯温泉、蔵王町・遠刈田温泉と並んで、こけし三大発祥の地として知られる鳴子温泉。鳴子系こけしは「首が回り音が鳴る」「胴体の中ほどが細くなっている」「胴体には菊の花を描くことが多い」などが特徴とされていますが、現代ではその枠を超えて様々なデザインのものが造られています。
鳴子温泉街にはこけしの工房や販売店がたくさん軒を連ねていて、こけしの絵付け体験も人気です。中でも「松田工房」や「桜井こけし店」では、変わり種のこけしや現代的なデザインのこけしを多く製造しています。
「岩下こけし資料館」にはこけしにまつわる貴重な資料が多く保存されていて、豊臣秀吉や織田信長が出した免許状なども見ることができます。
数え切れないほどのこけしの展示や工人によるロクロ実演コーナーなどもある「日本こけし館」は温泉街から少し離れていますが、毎年10月半ば〜11月半ばの紅葉時期には臨時バスが運行しています。
Information
■鳴子温泉 こけし工房・販売店
営業時間:施設により異なる
第3位 鳴子峡 回顧橋(みかえりばし)
紅葉の名所として名高い鳴子峡の回顧橋。バスやタクシーを使えば鳴子温泉からでも10分ほどでアクセスできますが、徒歩だと山道を30分近く歩かなくてなりません。
バスやタクシーを使わないなら、同じ鳴子温泉郷に属する中山平温泉からのアクセスがおすすめです。中山平温泉駅から鳴子峡までも徒歩30分ほどですが、温泉街の中を通っていくので温泉街散策や湯巡りを楽しみながら歩くことができます。
また、こちらも毎年10月半ば〜11月半ばの紅葉時期には臨時バスが運行しています。
Information
■鳴子峡
住所:〒989-6832 宮城県大崎市鳴子温泉星沼13-5(鳴子峡レストハウス)
第4位 鬼首かんけつ泉と地獄谷遊歩道
鳴子温泉郷の中で唯一、電車が通っていない鬼首温泉。鳴子温泉から大崎市営バスで30分ほど走ります。
2つの間欠泉を持つ「鬼首かんけつ泉」や、あちらこちらから温泉が湧き湯気が上がる「地獄谷遊歩道」からは大地の壮大なエネルギーを感じます。生卵を持参するか鬼首かんけつ泉で購入すれば、自分で温泉卵を作ることもできます。
かんけつ泉までは、市営バス「かんけつ泉前」停留所から徒歩2分、地獄谷遊歩道までは徒歩10分。地獄谷遊歩道は、遊歩道のすぐ近くで熱湯が噴き上がったり、高いところでは3~4mの高さまで噴き上がるので、歩く際はお気をつけください。
Information
■鬼首かんけつ泉
住所:宮城県大崎市鳴子温泉鬼首字吹上12
電話:0229-86-2233
時間:9時~16時30分(3月下旬~4月下旬は10時~15時、12月~3月は閉園)
定休日:水曜(GW・夏休み・紅葉時期は営業)
料金:大人 500円 小中学生 200円(税込)未就学児 無料
※団体割引あり(大人15名以上)
※小中学校が教育活動や行事として利用する場合は無料
■地獄谷遊歩道
住所:宮城県大崎市鳴子温泉字鬼首地獄谷遊歩道
電話:0229-82-2191(鳴子総合支所地域振興課)
時間:常時開設(5月上旬~11月下旬)
料金:無料
第5位 鳴子ダム
鳴子温泉から車で5分ほどのところに位置する鳴子ダムが完成したのは1958年のこと。複雑な地形であるにもかかわらず、外国から技術者を呼ぶことなく日本人技術者のみで完成させました。
ダムの形式には、最も古くから作られてきた「アースフィルダム」、国内で一番多い「重力式ダム」など様々ありますが、鳴子ダムは岩盤が強くV字形の地形に適した「アーチ式ダム」を採用。ダムの高さは94.5mもあり、100m級のアーチ式ダムとしては日本初です。
ダムの管理所は一般公開されていて、毎年ゴールデンウィークには観光放水が行われます。みやぎ大崎観光公社では、普段は関係者しか立ち入ることのできないダムの真下から放水を見学できる「すだれ放流見学ツアー」を企画しています。
Information
■鳴子ダム
住所:宮城県大崎市鳴子温泉岩渕2-8
電話:0229-82-2341
時間:8時~17時、12月中旬〜4月中旬まで冬季閉鎖(管理所見学は8時半~17時、12月29日~1月3日休館)
料金:無料
編集部おすすめ!鳴子温泉で団体旅行プランがあるホテル・旅館3選
鳴子温泉の宿泊施設の中で、団体プランがある旅館・ホテルを厳選しました。
団体利用の場合、個人では予約が取りにくいので、交通手段や観光、食事も含め、旅行会社にお願いするのがおすすめです。
「大江戸温泉物語 幸雲閣」は、鳴子温泉最大級の露天風呂が魅力です。男女それぞれ50畳もの広さがあるので、団体旅行でも気兼ねなくお湯を堪能できます。卓球やカラオケも楽しめますし、浴衣が選べるのも嬉しいサービスです。
「湯本 吉祥」は、4つの貸し切り風呂を全て無料で利用できる贅沢な旅館です。貸切風呂は、大人2名まで入浴可能なこじんまりとしたものから、8名まで入浴できる広めのものまであります。種類豊富な浴衣や湯上りのアイスキャンディー、ラウンジでのドリンクも無料サービスです。
「鳴子観光ホテル」は鳴子温泉駅から徒歩3分。収容人数100名と200名の2つの宴会会場を持ち、約100名収容可能なクラブや約50名収容可能なカラオケバーも備わっていて大人数での旅行にも臨機応変に対応してもらえます。コンベンションホールや会議室も備わっているので、社員研修を兼ねた旅行などにもおすすめです。
Information
■大江戸温泉物語 幸雲閣
住所:宮城県大崎市鳴子温泉車湯17
電話:0570-030268
■湯本 吉祥
住所:宮城県大崎市鳴子温泉字湯元58-10
電話: 0229-82-4451
■鳴子観光ホテル
住所: 宮城県大崎市鳴子温泉字湯元41
電話: 0229-83-2333
鳴子温泉の名物グルメ
宮城県といえば牡蠣、わかめ、フカヒレなど海の幸が有名ですが、内陸の鳴子では美味しい山の幸が豊富。温泉街には、鳴子の山で採れた山菜やきのこを食べられるお店がたくさんあります。
一年中食べたい山菜蕎麦や舞茸の天ぷら。暑い時期には冷やしなめこうどんや天ざるそばも美味しい!
鬼首温泉には「大久商店」という山の幸直売所もあります。直売だけでなく食事も提供していて、きのこ汁やいわなの炭火焼 、山菜ご飯、ワラビの佃煮などをいただくことができます。
ホクホクの栗と、とろりとしたみたらし餡がたまらない「栗団子」
栗団子は鳴子温泉の名物おやつです。甘露煮にした栗を丸々一個団子で包んだものに、みたらし餡がかけられています。
甘さは控えめで、上品な味わい。コロンと可愛いお団子を箸で割ると、ほっくり黄色い栗が中から顔を覗かせます。
喫茶店や土産物屋でも提供していますが、特に人気なのは“元祖栗団子”のお店で三代続く「餅処 深瀬」。店内では出来立ての栗団子をいただくことができますし持ち帰りも可能ですが、人気店のため売り切れ注意です。
ご飯やお酒が進む!「しそ巻き」
宮城の名産品である仙台味噌に、砂糖と胡麻やくるみを混ぜて青紫蘇で包み、揚げたものが鳴子名物のしそ巻きです。独特な甘辛さと紫蘇の風味が後を引く美味しさで、宮城県では鳴子以外のスーパーや道の駅でも広く販売され愛されています。
お茶請けとしてはもちろん、白ごはんのお供にも、お酒のアテにもぴったり!鳴子の温泉街でもいろいろなお店で取り扱っていて、手作りの味はお店ごとに違うので、食べ比べもおすすめです。
宮城のお米や鳴子の美味しい水で造った地酒
山に囲まれた鳴子は水も美味しく、お酒造りも盛んです。鬼首の水と地元素材にこだわって作られた発泡酒「鳴子の風」、宮城のお米・ひとめぼれ100%で天然温泉水「玉鳴号」を仕込水に使った日本酒「中山平」。
“酒米の王様”の異名を持つ山田錦100%の「天音」は、地元作曲家・大場陽子作「お酒の子守唄」を聴かせながら熟成させた純米吟醸音楽酒。鳴子温泉の女将達が梅の収穫から仕込みまで丹精込めて造る「女将の梅酒」も人気です。
鳴子温泉おすすめのお土産
どぶろくも「ゆきむすび」「土風里(どっぷり)」「遊心(あそびごころ)」と種類豊富。ゆきむすびと遊心は全国どぶろく研究大会で最優秀賞や優秀賞を受賞している折り紙付きです。
鳴子温泉の土産店には、こけし柄の手拭いやキーホルダーをはじめ、可愛らしいこけしグッズがずらりと並んでいます。マッチの頭に顔を描きこけしに見立てたゆる可愛い「こけしマッチ」や、一つ一つに愛らしいこけしの顔が描かれた「こけしボーロ」には思わず頬が緩みます。
食べ物なら栗だんごやしそ巻きのほか、ゴロリとした栗の実とこし餡が詰まったお饅頭「大栗なるまん」もおすすめです。「大栗なるまん」は東鳴子温泉の「おみやげの店 なるみ」で販売しているお饅頭で、小包装されていますし、栗団子よりも持ち運びやすく日持ちもします。
お酒好きな上司や友達には地酒で決まり!自宅用に数種類買って飲み比べても楽しいですね。
鳴子温泉 基本データ
豊富な泉質を持ち、歴史上の人物にゆかりの深い土地、鳴子温泉にぜひお出かけください。
所在地 | 宮城県大崎市 |
泉質 | 硫黄泉 |
効能 | 高血圧症、動脈硬化症、切り傷、やけど、慢性便秘症、慢性皮膚病、慢性婦人病、糖尿病 |
アクセス | 電車/JR陸羽東線「鳴子温泉駅」から徒歩1分 車/国道47号線・古川より鳴子温泉まで27km、国道108号線・湯沢から鳴子温泉、国道47号線・新庄から鳴子温泉 まで44km |
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